丹和は幸せな家庭に憧れている。
憧れまくっている。
幸せな家庭ってなんだろう。
まずはお父さんとお母さんが同じ部屋にいることなのかな。
同じ部屋でご飯食べて、
同じ部屋でTVを見ること、かな？
それで、一緒に喋ったり、
一緒に買い物に行ったりすること、かな？
あ、違う。
まずは顔を合わせること、だ。
お互いの存在を認め合わなくてはならないね。
そうだ。
あと呼び合わないと。
ウチんちって、
お父さんとお母さんはなんて呼び合ってるんだろう…。
「おかえり」「ただいま」
聞いてないな…。
「いってきます」「いってらっしゃい」
お父さんはいつ出掛けてるんだろう。
あぁ…。
幸せな家庭へはたくさんの壁があるみたいだ。
ウチんちの壁はすごく厚い気がするよ。
この壁、壊していけるのかな…？
妹は「無理だよ」って言ってくれたんだけどね
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